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  • 執筆者の写真ERIKO

ふたつの声

いつものネイルサロンに歌舞伎町まで〜


外の空気は良いね


部屋に篭ってるよりも気持ちは軽くなるし、楽しい


雑踏の中には沢山の娯楽がある

道を歩いているだけでも飽きることはない


ネイル担当のスーちゃんには、タロー君が亡くなったことを話した


あまり詳しく話すと、その場でまた号泣しそうになったのでアウトラインだけ話した


21年間

それだけ長い時間一緒にいたら、別れはつらいですね


と、スーちゃんはひとこと言ってくれた


そう、両親と一緒にいた期間よりもタロー君との日々の方が長いのでね


スーちゃんには、私がまだまだ立ち直れない事も話した


施術が終わってから、珈琲店で甘いものを食べて、帰ろうかと思ったけれど、昨日からずっと頭痛がしているので少し身体を動かさなければと思い、高層ビル群まで歩いてみることにした


昔は、この副都心が好きで、用もないのに良く来たもんだ


けれど、久しぶりのそこは、昔感じたイメージとは程遠く、錆びて廃れた感じがした


無機的で、ニューヨークのそれとは比べ物にならないくらいに、冷ややかでなんの文化の積み重ねも感じなかった


がっかりした


これが日本なんだなと思った

クソだなと

思った


何も積み重ならない国

文化のひとかけらもない国

そんな象徴に見えた


帰りは、何故か東口から来たのに、目の前には西口があったので、やはり私はウルトラ方向音痴なんだなと、ひとりで笑った


せっかく駅まで来たので、デパ地下で母親に、なだ万のお弁当を買い、帰路についた


家に近づくにつれ、涙が出てくる

家ではタロー君が待ってる


そう思うと、タロー置いて外出して、悲しみから逃れようとしている自分を責める


タロー君からは

僕を忘れるために?〜という声と

それで良いんだよ、エリツィン〜

という、ふたつの声が聞こえる


ごめんね、と謝る


逃げてるかもしれないね〜と話しかける


弱い自分がいる


もう少し

もう少し、ごめんねとタローに語りかける


苦しいな〜(笑)


どうしたら良いんだろうかね


君を忘れたくないのに、忘れようとしてる自分がいる


人生は難しいな、タロー君










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