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執筆者の写真ERIKO

おやじは

私の父親は、亡くなる前に入院してた病院のベッドで、「寂しいよ…」と私を引き寄せて珍しく抱きしめて欲しいように、手を差し伸べて来たことを、今でもはっきりと覚えている


脳梗塞から失語症になり、過去の事はほとんど記憶から消えてしまった父親が倒れてから、毎日のように病院に通う私のことだけは、誰なのかを理解していてね


多分、母の事も弟の事も誰なのかは、わかってなかったように思う


2011年の、父親が倒れる少し前に起きた震災のことも、桜の花のことも

父は分からなかった


そんな状態が3ヶ月弱過ぎて父は他界するが、そのひと言がとても耳に残っていてね


それが、彼の人生そのものだった気がしてなんとも切ない


そして


私も最期には

同じ台詞を吐くような気がする


父の悲しみは

私の悲しみなんだろうな


そんな家族の中で育った私な訳だからね(笑)

父の青春時代、多感な時期に起きた悲しい家庭環境は、結局最期まで、自分の家族を持ってもそれをも覆すような愛で父を救う事はできなかったんだろうな


人間は悲しいなと思うのは

父は、自分が子どもの頃から満たされなかった愛情を、きっと自分の家族を持った時には、そこで反映したいと思っていたはずだ


けれど

結果的に父の最期の言葉を聞いた時に

その不幸な子ども時代からの満たされない愛情を取り戻すことなく終わったんだなと、しばらくしてから、その言葉の意味を理解した


愛され方を知らない

愛し方を知らない


そんな人間は割と多いと思うからね

そして、それはある種の運命だからさ

誰のせいでも無いかもしれないし

誰かのせいであるのかもしれない


けれど、その闇を何かや誰かによって

次に進むことが出来ないまま、人生を終わることもあるだろう


自分が、もう少し早くその父の気持ちを理解できていたならば、何かできたんじゃ無いかなとね


ある年月と、ある経験が重ならないと

分からない事は沢山あるから、仕方がないのですがね


仕事の休憩中に、少し父の事を思い出し

思い出すと、その最期の言葉ばかりが

耳に残っていて、少し私の人生の事も振り返ったりしてました


さて


仕事に戻ります

ちよっと、2曲目は難儀してます(笑)











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